61WJfYnP32L

ザ・怖い話 2008―本当にあった恐怖実話


雑誌: 98ページ

出版社: ダイアプレス

発売日:2008/7/1
DVD1枚

10年前に発売されたダイアプレスの心霊ムック。ダイアプレスの心霊ムックは、どうにも個性のないタイトルで、ダイアプレスだったことを忘れてしまいがちだが、ダイアプレイスのDVD付き心霊ムックはおそらくこれが1作目である。(長いことムック本体を紛失していて、最近、古書で買いなおして確認)
10年の間、毎年何らかのDVD付き心霊ムックを出してくれているのは、愛好家としては有難い出版社ではある。
ダイアプレス心霊物は10年間、同じ制作会社が紙面、映像の編集を担当しているが、作風がほとんど変わらないのも、ある意味信頼性がある?

では、ムックの内容から見て見よう。1作目冊子は実は版型が大きくA4のグラビア風だった。同じ時期の他社心霊ムックもA4やAB版の物が多かったのでそれに倣ったのかも知れない。(翌年から2015年まではダイアプレスは心霊ムックはA5版で出し続けていた)
DVD連動記事は、全コンテンツ分あるのだが、なぜか巻頭から巻末までのあちこちにバラバラに配置されており、順番もDVD収録順とは若干異なっている。
他にはホラー映画関係のコンテンツ、芸能人、著名人の墓石のコレクション、ネット画像、廃墟、体験談など心霊ムックの標準的な記事が掲載されているが、よくある心霊スポット特集はない。
多少変則的なものもあるが、一つの記事のほとんどは見開き2ページで構成されている。出会い系広告は少なめだが、通常のコンテンツの中に、色情霊とかホストの霊とかいった色物記事もある。ほぼすべてのコンテンツが表紙の書き文字に含まれているので表紙画像に目を凝らして参考にして欲しい。

DVDの収録順に内容。

KOWAI SCN 001

「八王子城址の落城日に潜入取材」

個人的には、ちょうど新しい案内所ができたばかりの頃に一度しか訪問したことが無いが、好きなスポット。本丸に行くのは普通に登山だということを知らず、革靴とスーツで登ってひどい目にあったのはいい思い出。
といっても心霊映像作品では、いつも平地の御主殿でストップ、決して登山まですることは無いのでいつも不満に思っている。
DVDコンテンツについて「八王子城址は落城日(6月23日)に訪問すると祟られる」という噂があるが、訪問しても何もないことを立証する企画。潜入はいつものように御主殿の滝まで、そこで赤飯を供えようというもの。
訪問するのは当時の芸人の「ひできち」という女装???(おばさん風の化粧と衣装)の中年?男性。この時点で視聴者に対する罰当たり企画である。
自撮りカメラは夜間撮影だがナイトモードではなく、照明は暗い懐中電灯のみで、どこにもピントが合っていない何もわからないダメ映像。
何か撮れたという映像はスタッフカメラの映像で、なんかタコみたいのが柱の上のところに映る。それほど合成ぽくも無いが、映っている物体が実になんともいえない。
KOWAI SCN 002
ひできちの後ろの柱(梁?)のところにタコみたいのが。

「突撃潜入!心霊スポットで一人コックリさん」

レポーターは「愛葉るび」山の上の廃墟レストランでこっくりさんをやるというコンテンツ。他作品からの再録ではない(と思う)ナレーションからすると場所は「ベルビュー富士」ぽいのだが、映像に写る外観が全然違うため、実際はどこだかよくわからない。
愛葉は心霊スポット作品のレポーターとしては定番的人物なので安定感は高いが、ある意味、新鮮さには欠けるかもしれない。テンションはいつも同じ位なので、どうしようもない企画物を除けば、観ていて飽きるわけでもなく心霊レポーターとしては逸材だったと思う。
なぜか撮影はホテル外の道路から始まるが映像は「るび」の自撮り。るびカメラは、ひできちの時と同じ機材なのか、全く同じようなダメ映像で、どこでなにやら不明。
いつの間にかホテルに入って、キッチンにたどりつくと、こっくりさんを開始。こっくりさんはそれっぽく質問に答えていくという演出。最後はるびが途中退室してしまって終わり。元々無感情ぽい愛葉の振れ幅の少ない演技も自然で、やらせっぽさが薄い。

KOWAI SCN 003
こっくりさんより、大量の羽虫が気持ち悪いのでは。


「罰当たり!グラビアアイドルが水着で心霊スポット訪問」

うーん、2人のそこそこ若い女性がレポーターとし登場。
一億総タレント時代といわれて久しいが、グラビアアイドルと言ってしまえば、かなり太めの女性でも立派なタレントという時代がありました。この二人も、結構な太めさん。お二人の名前は「絵音」さんと「赤澤圭」さんといわれます。
形式的には後日談から入るフェイクドキュメンタリー風の構成で、体調不良を訴える二人が、その原因となった心霊スポット訪問番組を振り返る、というもの。
レポートした場所は、福島県いわき市周辺。まずは、湯ノ岳の山頂展望台と近くの公衆便所。山頂付近を水着でウロウロする。それから「安竜トンネル」と思われるトンネルへ移動、ここからは水着ではない。
最後に「高野不動尊」と思われる場所に移動するが、ここでなぜか赤澤の霊感が高まり、神聖な場所を心霊スポット扱いすることの不道徳さを語りだす。
後日、撮影で訪問した場所を再度訪問し取材時の非礼を詫びるという結末。
KOWAI SCN 004
霧の展望台に映える太目の二人

「史上初めて撮影に成功!オガミサマの祈り姿」

これはおそらくヤラセなど全くない本当のドキュメンタリー映像である。
オガミサマというのは宮城県、岩手県での霊能者の通称で、イタコ、ユタと同義である。今回出演してくれているのは、最後のオガミサマといわれていた「小野寺さつき」氏(現故人)である。口寄せの巫女は当時は目の不自由な人の職業として按摩などと同列の職業だったといわれているが、あんま屋が細々と続いているのに比べると口寄せの人口は壊滅的なものになっているようだ。青森県のイタコも最年少で最後のイタコという触れ込みで出版をしていたが、それを読んだことがある。
口寄せの巫女は基本目の見えない女性がなるもので、彼女らには生まれつきではないが幼少期にほとんどの光を失ったという方が多い。そういう境遇になると、同じ境遇でイタコやオガミサマをやっている大先輩に弟子入りするのである。少女の頃から修行を積み30歳くらいで霊的な何がしかの能力を得ることが出来るらしい。
スタッフの取材を快く受けた小野寺氏はスタッフの先祖かなんかを呼び出してくれるが、まあ、降りてきた御先祖さまは無難な回答。うんうんうんと頷くスタッフで幕切れ、
内容はともかく霊能者の儀式の現場を脚色無しで映してくれているのは興味深い。実際近所(九州北部)の拝みやの婆さんのところに行ってもやっていることは同じようなものだった気がする。
胡散臭いといえば胡散臭いのだが、線香が勝手に歪んで燃えて字のような物を残したりもする。
この近所のお婆さんで月収は100万位だったんじゃないかなあという概算。

KOWAI SCN 005

小野寺さつき氏85歳(享年88歳)

「徐霊姿を激撮!現代に残る山伏の姿」

というわけで、霊能者系のドキュメンタリーがあと1本続く。
舞台は新潟県に移動、南魚沼市は周囲を山に囲まれた「修験道の村」という説明。これは村の宗教の絶対的メジャリティが「修験道」という意味に感じられる。
が、村人すべてが「修験道」というとちょっとした奇村だよね。登場人物は中堅の山伏「田村昌法」氏60歳。この人は、近隣の霊山「樽山」を守っているらしく、そこにある護国観音堂にて護摩供養を行う。
祓串を振り回し詔詞をとなえ、九字を切りながら護摩焚いて集まった民衆は「般若心経」を詠唱。神仏習合とはいえ、こんな混ざり方なのか。
なにをやっていたかというと、「水子供養」なのですが、そこで変な言葉が・・「水子の魂百までっていうでしょ」ん?言わないのでは?修験道では「三つ子の魂百まで」の引用はよくあるらしいのだが。
こういう村に『エ○バの証人』とかが布教にきたら護摩の炎に投じられたりするんだろか?
田村氏はまだご健在で、父上、息子も山伏という山伏の院を代々で継いでいる家系らしい。

KOWAI SCN 006
法螺を吹くからホラ吹きというわけではないのだが

「若手芸人選抜!真夏の怪談祭り」

最後のコンテンツ。しかし、やや蛇足感。
三人の若手芸人らしき人たちが、車座になり、ろうそくの明かりだけで、、というか三人では、車座にならないが。で、各自怪談話を披露し、ろうそくを消していくというミニミニ百物語である。でも一人数回なので、次の話のときは、またろうそくに火をつけている。
一人目は大声で脅かそうとするタイプ。二人目は淡々と語るタイプ。三人目は中間的。体験談としてかたったり伝聞として語ったりするが、既出の話が多い。「首なしライダー(の謂れ)」「お見合い怪談」「偽警官」の話は他で何度も聞かされた話。一人目は三話語り、他は二話だった。
ここは現役女子校生怪談会にして欲しかった。ん、一応そういうDVDがあるか。
KOWAI SCN 007
真ん中一人だけでも、アイドルの卵にして欲しかったね

本誌もDVDも、割とよく出来ており、DVDの本物?霊能者ドキュメント二連発はインパクトありである。
それより、本誌の某アマゾンでの中古販売価格がオカルティックといえる。どこにそういう価値を見出すのか、DVDの収録内容か、と思いきや、しゃあしゃあと付録DVD欠品とか説明されているのも驚きだ。

オススメ度★★★